定年後(65歳以降)に希望する働き方についての調査では、「自宅でできる仕事で体力的負担を減らしたい」という回答が42.5%で第1位となっています。
通勤による疲労を避け、自分のペースで働けるフルリモートワークは、シニア世代にとって非常に魅力的な選択肢です。
しかし、いざフルリモートワークを始めてみると、新しいITツールの操作に戸惑ったり、20代などの若手を中心としたチームでのコミュニケーションに悩んだりする方も少なくありません。
本記事では、実体験や調査から見えてきた、シニア世代がフルリモート環境で若手と共に活躍するための具体的な「工夫」をご紹介します。
- ITツールの壁は「素直さ」と「小さなステップ」で越える
シニアがリモートワークを始める際、最初に直面するのがパソコンの環境設定やコミュニケーションツールなど、ITツールの壁です。画面が小さくて文字が読みにくいといった物理的な苦労から、作業効率が落ちてしまうこともあります。これを解決する工夫として、まずはモニターを導入するなど、作業環境を物理的に改善することが効果的です。
そして、操作そのものに対する苦手意識を克服するには、「目的を明確にする」「基本操作に集中する」「継続的な学習環境を作る」という3つのステップが推奨されています。
ここで重要になるのが、「分からないことは素直に若手に聞く」という姿勢です。見栄を張って一人で抱え込まず、カフェで隣り合わせた若者や、職場の若い世代にアプリの操作などを教えてもらう勇気を持ちましょう。実は、この「教えてもらう」という素直な行為自体が、若手とのコミュニケーションを深める絶好の糸口になるのです。
- 20代中心の若手とのコミュニケーションの工夫
フルリモートワークでは、オフィスにいる時のように「周りの様子を見て察する」ことが難しく、相手の状況が見えないことによる孤独感や不安が生じがちです。特に、チャットツールを使ったテキストコミュニケーションにおいて、文字を打つのが遅いシニアは「返信に時間がかかり、相手を長く待たせているのではないか」とプレッシャーを感じることがあります。
このような環境下で20代の若手と円滑にコミュニケーションをとるためには、以下の2つの工夫が必要です。
・若手のサポート役に回る:
通勤時間がなくなったことで生まれた「時間の余裕」を活用し、分析作業や資料作成など、思考を要する業務に注力するだけでなく、出勤している若手メンバーの負担を減らすために、雑用的な仕事を率先して引き受けるのも一つの立派な工夫です。
- シニアならではの「経験」を活かした立ち回り
最新のITスキルやタイピングの速さでは、デジタルネイティブである20代の若手にはかなわないかもしれません。しかし、シニアには長年の社会人生活で培ってきた「経験」という最大の武器があります。
例えば、基本的な業務指示に加えて、「言わなくても分かる」といった暗黙の了解を察知し、スムーズに業務を進行させる能力も、人生経験が豊富なシニアならではの強みです。
新しい能力を無理に開発しようとするのではなく、自分のこれまでの経験という「型」を新しいリモートの環境にどう当てはめるかを考えることが、活躍への近道となります。
- フルリモートならではの「健康管理」と「オンオフの切り替え」
フルリモートワークを長く続けるためには、自己管理能力が不可欠です。仕事と私生活の境界線が曖昧になりやすいため、「燃え尽き症候群(バーンアウト)」を防ぐ工夫が求められます。
まずは、家の中に専用の作業スペースを設け、食事や睡眠の場所とは物理的に区別しましょう。
そして、通勤が無いことでの運動不足を補うため、人手が少ない朝晩にウォーキングをしたり、公園でストレッチをしたりするなど、意識的に身体を動かすルーティンを取り入れましょう。
シニアにとって健康管理もリモートワーカーにとって重要な「インフラ」の一部です。 そして、家事も完璧にこなそうとせず、意図的に生活に「余白」を作ることで、精神的なゆとりを持ちながら働き続けることができます。
まとめ
シニアがフルリモートワークで活躍するためには、最新のITスキルを完璧に使いこなすことよりも、自分のペースを守りながら、若手と相互に補完し合える関係を築くことが何より重要です。分からないことは素直に若手に聞き、長年の経験からくる「全体を見る力」や「気配り」でチームに貢献する。そして、健康管理と生活の余白を大切にする。これらの工夫を取り入れることで、年齢の壁を越えた、充実した「シニアフルリモートワーカー」としての新しいキャリアを築くことができるでしょう。

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