
還暦という節目は、かつて「隠居」や「余生」の始まりを意味していました。しかし、今はまだ貰えていない年金も貰えるようになっても、それだけでは到底賄いきれない生活費の増加や物価の上昇が現実的な問題として迫る中、「このままでは将来どうなってしまうのか・・・」という強い危機感を私は抱いていました。だからこそ、あえて未知の領域へ飛び込む決意をしたのです。
それは、通勤による体力的な消耗をなくし、自宅にいながら仕事ができる「フルリモート」という働き方だでした。
「60歳からリモート仕事なんて難しいのでは」と思いましたが、私は迫りくる不安を払拭し、安心と心の余裕を自分の手で取り戻すため挑戦しました。
私は運よく、パソコンが普及する当初からPCに携わっており、今まで長い間、パソコンを使用した業務に携わっていたのが幸いしました。また、会計事務所にも長く勤めており、お客様である個人事業主や企業の経理を担っていたので、それがリモート業務にマッチした業種であったのも幸いしました。
しかし、意気揚々と船出した私を待ち受けていたのは、今まで経験のない「デジタルの壁」がありました。
特別な知識があるわけでもなく、経験から成り立っていたパソコン操作であったので、初めて聞く横文字の専門用語が出てくるたび、常にネットで意味を調べてついていくのが大変でした。若い人たちは、スムーズに言葉を理解されているのだなと感じ、私は対照的に、いつもネット検索を行い、「みんなはこの言葉を知っているのだな」と時代の違いを感じることが多々ありました。
さらに、分からないことがあっても、質問せず、自身で調べて答えを導かないといけない。自分の能力の低さを思い知らされました。
この仕事が自分に合っているのだろうか・・・と時々考えるようにもなりました。
ですが、合っているかどうかなど、自分ではよく分かりませんでした。
それよりとにかく、焦るとミスが出やすくなるので、焦らないようにするように心がけるようにしました。
私は今まで仕事を早く完璧にこなさなければと焦っていましたが、ミスを防ぐため、自分の出来る限りの速さで無理なく仕事に向き合うことにしました。
自分のできる速さ以上に早くやろうとすると、ミスになりやすいので、早く且つ慎重にを心がけるようにしました。
また、毎日の作業の中で「できたこと」に目を向けるようにすると、少しずつ自己肯定感が高まり、最初は苦手だった横文字専門用語も少しずつ覚えるようになっていきました。
そして最大のブレイクスルーは、自分がこれまで生きてきた中で培った「経験」こそが最大の助っ人になると気づいたことです。
50代・60代の挑戦に必要なのは、真新しい才能を無理に開発することではなく、これまでの人生経験を今の仕事に活かすことでした。
長年の人生経験で得た人との関わり方や、相手の悩みに寄り添う力。
それらを新しいリモートの環境に当てはめるだけで、私の言葉は誰かの役に立っていると感じました。
現在、私はフルリモートワークを行っています。
フルリモートワークを続ける最大の秘訣は、「焦らないこと」と「普段から余白を作ること」だと学びました。
会社に出社義務が無く、一切の通勤のストレスが無いフルリモートの恩恵を大変ありがたいと心から思っています。
朝から騒がしく動き回ることが無くなり、時間になったらパソコンに向かう。
通勤のために車に乗ることも無くなり、通勤による疲労もストレスもなくなりました。
この燃料費の高騰の時代、通勤の必要が無いのは、無駄な燃料資源を消費することが無く、本当の意味で地球のためになっていると感じます。
また、リモート業務を通じて社会と繋がり、自分の経験が誰かの役に立っているという実感が、何よりの生きがいとなっています。
「不可能」だと思っていた60歳からの挑戦。それは、特別な才能が必要だったわけではない。「変わりたい」という気持ちを胸に、失敗を恐れず小さな一歩を踏み出し、自分のペースで行動を止めなかったこと。ただそれだけが、私の未来を変えたました。
人生の舵を切るのに、遅すぎるということは決してないはず。
私は今日も、パソコンに向かい、いつものデスクから新しい一日を始めています。


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